川瀬 陽平 店主（BAR 土の器)のインタビュー

母の夢を叶えるため未経験でカフェをスタート

もともとは塾の講師などをしており、飲食業に携わったことはありませんでした。とあるときに、母が「カフェをやりたい」と言ったことがきっかけで、『カフェ土の器』をスタートすることになりました。店名の由来は『カフェ土の器』で使う皿は陶芸をしていた母の作った皿を使って提供しようと思っていたことと、また、その母が作った皿を私が「まるで土器のようだな」と言ったことからでした(笑)。未経験から手探りではじめたカフェでしたが、不慣れながらも多くのお客様にお越しいただき、かわいがっていただきました。

『BAR土の器』に業態変更

生活スタイルの変化に伴い日中にカフェを続けていくのが難しくなってしまったことから、夜に営業をするスタイルに変更しました。それに伴い、店名もカフェからバーへと変更したのです。店で提供する料理は、本やネットなどを見ながら研究し試食を繰り返しながらレパートリーを増やしていきました。最初はメニュー表をしっかりと準備し日々提供していたのですが、カウンター越しにお客様とすぐに話ができる店であることから、お客様がメニュー以外のものをオーダーされることが増えてきました。現在もホームページには多くのメニューが並んだままになっており、もちろん提供し続けているメニューもありますが、ほとんどが当日仕入れやお客様の希望でご提供しているのでほぼメニューがない状態です(笑)。いつも卵と生ハムと野菜はありますよとお伝えし、お客様の今日の気分で食べたいものをお聞きしながら、その場で考え提供していくスタイルですね。なので、和風洋風、中華風まで揃っています。気分で楽しんでいただければと思います。

カウンター8席のみの落ち着いた空間

店はカウンター席のみ、8席で営業しています。ジャズの流れる店内で、1人でゆっくりとお酒を楽しまれているお客様も、ご夫婦やご友人と一緒にのんびりと食事を楽しんでいただいている方など、お客様ごとにくつろいでいただいています。席数はもう少し増やせるといいのですが、私が1人で料理からお酒の提供までしているので、これ以上になるとお客様にしっかりとサービスが提供できないと思いこの席数としています。せっかく来ていただいたお客様をお断りするのは私自身も心苦しいので、お手数ですがご来店の際はお電話で予約いただくか、状況を確認いただいてから来店いただけると助かります。

お客様に支えられて、今があると感じる日々

途中で店をリニューアルしたのですが、その際の内装は実はほとんどが手作りで、バックバーや壁の塗装などはお客様にも手伝っていただきました。当店では、ビール、洋酒、日本酒、焼酎、泡盛など幅広く扱っていますし、カクテルなども提供しています。ただ、私自身がお酒は飲めないので(笑)、お客様に教えていただくことも多いです。オープンしてすぐの頃のエピソードなのですが、お客様がマティーニを注文されました。お酒が飲めないので別の店でマティーニを飲んだことはなかったのですが、提供するカクテルのメニューについては一通り勉強しており、自分なりのマティーニを提供しました。すると一口飲まれて、「こんなまずいマティーニは初めてだ」と、帰られてしまったのです。申し訳ない気持ちと悔しい気持ちで、改めてマティーニのレシピを探したり動画で研究したり、さらには近隣の仲のいい飲食店の方に教えてもらったりしました。後日、先日のお客様が再度来店くださり、マティーニを注文してくださったのです。どきどきしながらご提供したところ、「この短期間にここまで上達するとは」と笑顔になっていただけ、そこから常連となり通っていただいています。このように、『BAR土の器』は多くのお客様と出会い、皆様に支えていただき、本当に感謝しています。

隠れ家風な外観ですが、気軽に遊びに来てください

店をリニューアルした際に窓を設置するのを忘れてしまい、外から店内の様子がわからなくなってしまいました。決して隠れ家的な雰囲気にしたかったというわけでもなく、結果隠れてしまった感じです(笑)。ドアを開けるのに少し勇気がいるかもしれませんが、出汁巻き卵が人気メニューというような決して敷居が高いバーではありませんので、安心していただければと思います。中山駅からも徒歩10分ほどですし、目の前はバス停という立地ですので、ご自宅に帰る前に一息つきたいときなどに是非お越しください。豊富なメニューを取り揃えてお待ちしております。

※上記記事は2023年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。