西谷 英 院長（バーズ動物病院)のインタビュー

身近だった獣医の存在

小さいころから動物を飼っていて、動物病院にお世話になることも多かったので、獣医は身近な存在でした。自分の進路を考えたときにも自然と獣医という選択肢が浮かんできて、好きな動物に関われて生計を立てていけるのもいいなと。獣医学部に進学し、小動物専門病院などを経て2011年に「バーズ動物病院」を開業しました。犬や猫だけという病院も多いですが、当クリニックでは犬、猫はもちろん、鳥、ウサギやハムスターなど小動物にも幅広く対応しています。

犬、猫だけでなく鳥類やげっ歯類など幅広く対応

獣医学部はもともと産業動物を学ぶために作られたものなので、現在でも大学で学ぶのは産業動物が主で、それに加えて犬猫を学びます。近年、様々な動物をペットとして飼育されるようになりました。動物を治療できるのは獣医しかいないのに、犬猫以外の動物を診られる病院が少ないなと感じていました。また、卒業後に勤務した病院が鳥とげっ歯類専門だったこともあって、色々な動物を診られる獣医になりたいなと。それに僕は動物全般が好きだったので、いろんな動物を助けてあげたいという思いもあり、診療対象の動物を絞らずに診療するクリニックで独立することに決めました。さまざまな動物を診ていますが、一番多いのは鳥類。そのため、鳥類を含めたエキゾチック動物専用の入院施設や専門器具を揃えて対応しています。

気持ちに寄り添った治療を

動物はもちろんですが、飼い主さんの気持ちにも寄り添った治療を心がけています。どういった症状があるのか。それを一番よく分かっているのは、日常を一緒に過ごしている飼い主の皆さん。どういう治療をしてほしいか。それを聞き出せるよう、お話をしっかりと聞くように意識しています。飼い主さんに信頼してもらえないと治療はなかなかうまく進まないですから。疑問があるなら解消できるようにすべて答えたいと思っています。また、飼い主さんも不安になり、気になっていることをうまく言葉にできないことも多く見られます。モヤモヤしていることがありそうなら「こういうことですか？」とこちらから悩みを聞き出すように意識しています。そのうえで、お互いのベストな治療法を探っていく。信頼を高めてもらえば、いい治療ができるし、いい結果に結びつくはずです。

学校飼育動物についての活動も

動物病院は野生動物や野鳥などの保護の窓口になっているので、タヌキやキツネなど道端で弱っていたからと連れてきてくださる方もいらっしゃいますね。また、小学校でウサギやニワトリなどを飼っている場合もありますが、そういった学校飼育動物を診るのも獣医の仕事のひとつです。僕は横浜市獣医師会の学校飼育や野生動物を担当する理事をしているので、学校の先生方を集めて飼育指導をしたり、飼育書の冊子を学校に配布するなどといった活動も行っています。

動物病院は動物を飼っていない人には、あまり馴染みがないですし、必要とされる事もほとんどありません。ですが、学校飼育動物や野生動物の保護などに関することは、獣医が行える社会貢献かと思います。動物を飼っている地域の皆さんにとってはもちろんですが、地域全体に関われるような活動を増やし「ここに動物病院があってよかった」と思われるような存在になりたいと思っています。

早期発見のためにも定期健診を

症状が出ているときはもちろんですが、普段とちょっと違うなと思ったときには気軽に相談に来ていただけたらと思います。それが本当に病気なのかを判断するのが病院だと思いますから。小動物は特に我慢強いので、痛いからと言って露骨にギャーギャー騒いだり、ぐてーっと寝転んだりしないんですよね。なので、誰が見ても明らかに具合が悪いという状況になってしまうと、助からない場合も多いんです。早期発見するためには定期健診も重要です。ペットの寿命は人間と比べたら短く、ざっくり言えば人間の5分の1くらいの寿命です。人が1年に1度健康診断に行くとしたら、動物たちは季節ごとに検診を受けてもいいのかなと。寿命が短い動物の方が病気の進行が早い事もありますので、まずは定期健診を。健康時の検査データを蓄積していれば、いざ病気になったときにも役に立ちますから。

※上記記事は2021年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。