大屋 学 院長(長津田おおや歯科)のインタビュー

長津田おおや歯科 大屋 学 院長

長津田おおや歯科 大屋 学 院長 MANABU OYA

日本大学歯学部卒業。同大学大学院歯学研究科専攻博士課程を卒業(細菌学講座)。2020年に『長津田おおや歯科』を開院。

地域における歯科医師のあり方を模索した日々

高校生の頃、バイオテクノロジーが流行ったことがありました。生物系に興味をおぼえるようになったのは、それが大きかったのでしょうね。小さな頃から、「人の役に立てる仕事をしたい」と思っていました。そこへ、自分の興味があることを学び、それを生かして人々に貢献できることにやりがいを見出し、この道を選んだのです。
大学卒業後は小田原市の歯科医院に勤務医として務め、その後、社会人大学院で細菌学を学び、横浜市内の歯科医院勤務を経て、2020年に『長津田おおや歯科』を開院いたしました。研修医の頃に、自由診療を専門に手がけているクリニックにお世話になったことがあるんです。自由診療の可能性に魅入られた反面、それが選択できない方に対してどうすればいいかという、相反する想いを抱くことになりました。最後に勤務した横浜市の歯科医院では、歯周病の専門医でありながら、あくまでも保険診療を中心に診療を提供されていました。専門性を持ちつつ、地域に密着していく。私個人が理想とする歯科医院のあり方をそこで学ぶことができたと思っています。

感染予防の専門資格を持つドクターによる徹底した衛生管理

大学院で細菌学を学んだ関係もあり、院内感染を防ぐための専門的な知識を有するインフェクションコントロールドクターという資格を所有しています。その知識に基づき、当院では可能な限りの感染対策を導入しています。欧州基準のクラスB滅菌器やタービン用滅菌器はその一例であり、それ以前に治療器具は専用の高水準の消毒ができる洗浄器にかけることになっています。感染症の8割は手からの接触感染と言われています。それを制御すべく、手洗いコーナーは自動注水として、スタッフの手指消毒も徹底しておこなっています。
これだけのことをしていても、感染対策に「完璧」ということはありません。ですが、患者さんに安心していらしていただけるよう、最大限の努力を続けてまいります。

長期的な視点で歯を守っていくために

歯科の疾患は、基本的にリカバリーが難しいものです。アメリカの医学者、リーベル(Leavell, H.R.)とクラーク(Clark, E.G.)が提唱した予防医学という概念があります。一次予防、二次予防、三次予防と続いていくのですけれど、結論を申しますと、疾患の発見が遅れれば遅れるほど治癒の可能性はなくなってしまうということ。逆に言えば、早期に発見することで健康体に戻れる可能性があるということを示唆しています。
お口は消化器官の入り口です。その機能を失うことは、生命にも大きな影響を与えることになります。大きな治療ができることはかっこいいと思いますし、それも歯科医師の1つのあり方でしょう。ですが私としては、取り返しがつかなくなる前に現状をいち早くお伝えし、リスクヘッジを促していくことも歯科医師の重要な役割と考えています。

先端の技術を「噛む力」の維持・改善に役立てていく

根管治療はもとより、歯周病のフラップ手術の際にもマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いています。私たちは慣れてしまっていますが、歯茎を開くということは、患者さんの立場からすれば一大決心です。その決断をした方に最善の治療を提供したいと思い、マイクロスコープを用いています。先ほど申し上げたように、こうした機器を用いるような大きな治療はないのが理想ですが、道具があるからこそわかること、できることがあるのも事実で、必要に応じて使用していきたいと思っています。

今後については、「噛む力」を可視化するシステムの導入を視野に入れています。これまでは、歯科医師の見た目で「噛む力」を判断していたところがありましたが、それでは患者さんに伝わりづらい面もあったと思うんですね。例えば、血圧の治療薬を処方すれば、検査をしてその効果を評価します。歯科の治療においてもそれは必要で、被せ物や詰め物をしたことで、どのくらい機能が回復したかを目に見える形でお伝えすることも大切と考えています。
たかが一本、されど一本です。一つ崩れると、さみだれ式にお口は崩壊へと向かっていきます。だからこそ、一本の歯の治療の質にこだわっていきたいと思っていますし、その成果をわかりやすくお伝えすることで、患者さんの意識の向上にも役立てていければと思っています。

これから受診される患者さんへ

近年、寿命と健康寿命との間に乖離があることが問題になっています。整形外科におけるロコモティブシンドロームは骨格筋の低下を指しますが、その骨格筋の低下の理由の1つに栄養不足があると言われています。お口の機能を損なってくると、固いものを避けるようになります。固いものが噛めなければ食の偏りが生じ栄養面にへだたりが生じてきますし、それが全身の健康にも影響を及ぼすことになるのです。
地域の歯科医師として、お口の中の衛生面を担保すること、そして噛める機能の維持・向上に役立っていきたいと考えています。繰り返しになりますが、早期に問題点を発見し、適切なケアをすることでお口の健康を取り戻すことが可能になります。少しでもおかしいと思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。

※上記記事は2020年11月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

長津田おおや歯科 大屋 学 院長

長津田おおや歯科大屋 学 院長 MANABU OYA

長津田おおや歯科 大屋 学 院長 MANABU OYA

  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味: クルマ、子供と遊ぶこと
  • よく手にとる本: 福岡伸一著書
  • 好きな映画: ヒューマンドラマ
  • 好きな言葉: 「思いやり」
  • 好きなアーティスト: ジャック・ジョンソン
  • 好きな場所: 温泉

INFORMATION