カットスタジオ遊楽部 瀧坪 陽二 店長 YOJI TAKITSUBO
幼少期から両親の経営する理容室「ヘアーサロン・ユーラップ」を手伝い、高校卒業後は理容の専門学校へ進学。同時に、専門学校講師のお店で3年間の住み込み修行を経験。22歳からは「カットスタジオ遊楽部」に勤め、27歳で同店の店長を任される。2021年3月に移転オープン。
幼少期から両親の経営する理容室「ヘアーサロン・ユーラップ」を手伝い、高校卒業後は理容の専門学校へ進学。同時に、専門学校講師のお店で3年間の住み込み修行を経験。22歳からは「カットスタジオ遊楽部」に勤め、27歳で同店の店長を任される。2021年3月に移転オープン。
両親が理容師でお店を経営していたので、幼少の頃から理容師の仕事が身近にありました。僕は3人兄弟の真ん中なんですけど、兄が高校卒業して理容師の専門学校に行ったのも見てるし、疑うことなく「自分もそうなるだろうな」って思っていましたね。両親から理容師になれって言われたことはないんですけど、結局兄弟3人ともその道に進んだので、上手く仕向けられた感じはあるのかもしれません(笑)。小学生の頃から、お店の床を掃いたりタオルを畳んだり雑用係をしていたので、その流れで理容師になるというのが自分にとって自然な形だったんです。
専門学校入学と同時に修行先のお店を決めて、学校に通いながら住み込みで働いていました。学校に行って、帰ったらお店で働いて、朝また学校へ行くという生活です。当時の専門学校は、1年間で国家試験に受かるまでのプログラムを勉強するんですけど、僕が行っていたのは専門科といって、2年間でもう一段階上のレベルまで学習するクラスでした。そこを卒業してそのままお店で働いて、結果的に3年くらい修行しましたね。22歳のとき、両親のお店に戻りました。
両親のお店に僕が入って、弟と兄も帰ってきて、一度は家族5人が揃って同じお店で働いていました。でも、当時のスタッフも合わせると人手が十分すぎるくらいだったので、支店という形で店舗を広げて、この看板を守っていこうということになりました。自分のお店として「カットスタジオ遊楽部」を任されたのが27歳のときなので、もう20年以上が経ちますね。同じ青葉区内で両親のお店と兄、弟、そして僕のお店がそれぞれあります。
すでに両親のお店が地域に根付いていたので、新しいお店では、そこに通っていたお客様をきっちり引き継いでいかなければいけないという思いがありました。ただ、僕としては修行先で習ってきたことをプラスアルファでやっていきたいと思っていたし、女性にももっと来てもらったり、新しいお客様を開拓していきたかったんです。でも、ドラマの影響でカリスマ美容師ブームが来たのをきっかけに、理容室がまさに暗黒期に入ってしまって。それが十数年続いたあと、今度は激安カットが次々と出てきて、どう太刀打ちしても勝てる話じゃなくなってしまいました。そこと差別化するために、改めて理容室のあり方を考えたとき、新しいことをするんじゃなく、地域の方々のために今まで通りの仕事を丁寧にやっていくことが大事だなって気付いたんです。
ご来店頂くお客様のほとんどが近所に住んでいる常連さんなので、このお店に何か新しい発見を求めているのではなくて、非日常感を味わいに来ているんだと思うんです。家ではなく職場でもなく、生活の中で心地よく落ち着ける、第3の場所みたいな。だから、シャンプーして洗って起きたときに、はぁーってポンと大きく一息ついてくれると「よし! よかった!」って思いますね。あと、お客様が帰るとき、ほぼ毎回「ありがとう」って言ってもらえるんですけど、なかなか普段お店の人にそう言う場面ってないじゃないですか。だから、いい仕事選んだなって感じます。
理容室って、単純に髪を切る場所というイメージがありますよね。理容の「理」には「整える」っていう意味があって、その名の通り、容姿を整えるのが理容師の仕事です。だけど、僕はそれだけじゃないと思っているんです。お客様は大体1か月に1回来店されますが、その間の日常生活の中で、考えることや悩むことってあるじゃないですか。そういうときに来て1時間くらいゆっくり過ごす時間があると、冷静に落ち着いて考えることができるというか。頭の中でごちゃごちゃ散らかってしまったものを整理して、よし明日からも頑張ろうって切り替えられるようになるんじゃないかと思うんです。だから理容室というのは、髪を切ることでその人の人生をプラスに転じる、一つのきっかけ作りの場所なんです。そういうリセットのできる居場所として捉えてもらって、理容室行きたいなって思ってもらえると嬉しいですね。
※上記記事は2021年6月に取材したものです。
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